Food poisoning
食中毒
食中毒とは
有害な微生物、化学物質、自然毒などの付着した食品などを摂取しおこる健康被害(嘔吐・下痢・発熱等)のことであり、大規模な二次感染拡大を起こす場合もある恐ろしい中毒です。食中毒が原因で尊い命まで奪うほどの事故に繋がることもあります。その対策は常に食を提供する側の大きな課題でもあります。
その元となる因子・物質により次の 4つに大別されます。
①細菌性食中毒腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌等
②ウイルス性食中毒ノロウイルス、ロタウイルス等
③化学性食中毒農薬、洗剤等
④自然食中毒毒キノコ、ふぐ、貝毒等
主な食中毒種類と予防のポイント
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サルモネラ菌
◆菌の分布----鶏、豚、牛などの動物の腸管、河川、下水など広く分布。
◆主な原因食品---サルモネラに感染されている肉や卵を原材料として使用した場合、レバ刺し、オムレツ等。
◆主な症状----腹痛、水様性の下痢、発熱(38℃~40℃)、脱力感、倦怠感。
◆潜伏期----5時間~72時間(平均12時間)。
◆回復------2~3日から数日。 |
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★予防のポイント★
1.手指や調理器具は十分に洗浄・消毒する。
2.卵は新鮮なものを購入し、冷蔵保管し、早い時期に消費する。
3.割卵後は直ちに調理する。割り置きは絶対にしない。
4.肉や卵などの食品は、十分加熱する(中心部が70℃、1分以上)
5.調理場のそ族、昆虫などの駆除。
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カンピロバクター◆菌の分布----家畜(鶏、牛、豚、ヤギ等)、ペット、野生動物、野鳥など |
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★予防のポイント★
1.熱や乾燥に弱いので、調理器具は熱湯消毒し、乾燥させる。
2.井戸水は塩素消毒、または煮沸殺菌する。
3.生肉と調理済みの肉類とは別々に保存する。
4.生肉を取り扱った後は、充分に手指を洗浄する。
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病原性大腸菌◆菌の分布----土壌、下水、動物、人間のし尿、自然界に広く分布。飲料水の汚染 |
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★予防のポイント★
1.生野菜は良く洗い、食肉は中心部まで十分加熱する(中心部が75℃、1分以上)。
2.加熱調理済み食品が二次汚染を受けないように、調理器具を十分洗浄・消毒する。
3.手指の洗浄・消毒。
4.水道水以外の水を飲用・調理用として使用する場合は、定期的に水質検査を受け、飲用に適していることを確認する。
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腸炎ビブリオ◆菌の分布-----魚介類、海水程度の塩分(約3%)を好む。 |
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★予防のポイント★
1.魚介類は、調理前に飲用適の水でよく洗って菌を洗い流す。
2.漁獲から消費まで、一貫した温度管理(4℃以下)
3.夏季の魚介類の生食は注意し、4℃以下で冷蔵保存する。
4.二次汚染に注意。
5.器具類の洗浄・消毒を十分行う。
6.調理器具類を使い分け、生食専用とする。
7.加熱調理する場合は中心部まで、十分加熱する。(65℃、1分以上)
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ウェルシュ菌◆菌の分布-----水、土壌、人や動物の腸管、特に食肉。 |
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★予防のポイント★
1.前日調理は避け、加熱調理したものは早く食べる。
2.大量の食品を加熱調理したときは、室温で放置しない。
3保管する時は、小分けするなどして、すばやく冷却する。
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セレウス菌◆菌の分布-----土壌、水、ほこり等農作物を濃厚に汚染 |
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★予防のポイント★
1.一度に大量の米飯やめん類を作り置きせず、必要量だけを調理する。
2.穀類などを原料とした食品は、調理後、速やかに低温(10℃以下)に保存する。
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黄色ブドウ球菌◆菌の分布-----化膿キズ、鼻腔、のど、皮膚、腸管、ほこりの中。 |
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★予防のポイント★
1.手指の洗浄・消毒を十分に行う。
2.手指に切り傷や化膿巣のある人は、食品に直接触れたり調理しない。
3.にぎりめしを作る時は、ラップで包むようにして握る。
4.エンテロトキシン(菌体外毒素)は熱に強い。(100℃でも壊れない)
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ボツリヌス菌◆菌の分布----土壌や海、河川。 |
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★予防のポイント★
1.真空パックや缶詰が膨張していたら食べない。
2.『食品を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌した(缶詰、ビン詰を除く)』旨の記載が無い食品は、表示で保存方法を確認し、適切な保存をすることと期限表示内に食べる事が必要。
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ノロウイルス1968年に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれた。強い感染力を持ち毎年冬季には集団食中毒事故が多発する。 |
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★予防のポイント★
1.カキなどの二枚貝はできるだけ完全に加熱する。
2.貝類を生で食べる場合はウイルスに汚染されていない海域で取れた生食用のものを選び、ウイルスが蓄積している可能性の大きい内臓を除去する。
3.調理する人は用便後や調理前に良く手を洗浄・消毒する。
4.下痢や風邪に似た症状がある場合には、調理に従事しないようにする。
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ロタウイルス5歳までにほぼすべての子どもがロタウイルスに感染するといわれています。乳幼児は、特に初めて感染したときに症状が強く出ます。5歳までの急性胃腸炎の入院患者のうち、40~50%前後はロタウイルスが原因です。 |
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★予防のポイント★
1.オムツの適切な処理、手洗いの徹底などが必要。
2.オムツを交換するときには使い捨てのゴム手袋などを使い、捨てる場合はポリ袋などに入れる。
3.手洗いは指輪や時計をはずし、せっけんで30秒以上もみ洗いする。
4.衣類が便や吐物で汚れたときは、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)でつけおき消毒した後、他の衣類と分けて洗濯する。